サックスの掃除・手入れはどこまで必要?

サックスという楽器は口をつけて息を吹く以上、どうしても唾液などで汚れが生じてきます。
掃除しないでほったらかしにしておくと音の抜けが悪くなったり、タンポ(キーを閉じるボタン裏の部品)を交換する必要が出てきたりと、せっかく高価なサックスを購入したとしても、しっかりと手入れを行わないとすぐに修理・メンテナンスしなければならなくなります。

そうならないためにも、毎回の練習の後には掃除をしておくことが大切です。
どうしても毎回するのが大変であれば数日おき、数週間おきにでもしっかりと掃除することが必要です。
楽器の大きさによっても大変さが変わりますが、基本は唾液などの有機物をしっかりと取り除いてやることが肝心で。主にスワブなどを使います。

まず、最初にネックを本体から抜きとり、そこからさらにマウスピースとリード、リガチャーに分解していきます。

最近ではスワブの両側に1本ずつ、計2本の紐がついていることが多いのですが、楽器のベル(ネック差し込み口とは反対の大きな穴)に片方の紐(重りがついていると思います)を入れて、もう片方は中に入らないように手で握っておきます。
重りがついているのでスワブを差し込んで楽器本体ごと逆さに傾けると、その反動で重りがついた紐の先端がネック差し込み口から出てきます。
これで重りがついている方とそうでない方の2本の紐の先端が両側から出ている状態になるので、あとはその両端を持って行ったり来たり交互に動かすだけで、本体内部の唾や汚れがスワブの布に吸い取られます。
よく、一方通行にスワブを何回か通すだけの人がいますが、これだと汚れが取りきれない場合もあるので、やはり交互に動かして内部を磨くイメージで拭き取ることが大切です。

ネックも同様で、両端から1本ずつスワブの紐の先端を出しておいて、何回か交互に動かすだけでほとんどの唾・汚れは落ちます。

マウスピースもスワブでOKですが、内部の角や細かいところはそのまま指を使って丁寧に拭き取る方が良いです。

リードも唾が多くついていればよく拭いた後に十分に乾かすことが必要です。
そうでないと、ケースなどの密閉容器内でカビが繁殖する原因にもなり、リードがすぐにダメになってしまいかねないからです。

このようにして目に見える唾や汚れをしっかりと拭ききった後は、本体のタンポの唾を拭き取る必要があります。
キーの裏側なのでなかなか気づきにくいですが、この部分が楽器本体の中でも一番デリケートな部分でもあるので、入念に掃除しておくべきです。
スワブでは少し大きすぎるので、クリーニングペーパー(楽器店にある油取り紙のようなもの)で本体とキーの間に挟みながら何回かキーを押すことで、裏側についた唾の大半は吸い取られます。

タンポの素材はいわゆる“皮革”で、鹿皮や豚皮であったり色々ですが、本体の金属部分とは明らかに材質の異なるものです。

私たちがよく使う皮革製品としてカバンや靴があると思いますが、それらが雨や水滴でビショビショに濡れたら、普通は何かで拭き取りますよね?
そのことと一緒で、サックスという楽器にはその皮革製品が含まれているという認識を持つことが重要です。

ここに上げた部分以外はほとんど定期的な掃除や手入れはいらない部分だとは思いますが、楽器店のリペアマン(楽器修理専門の職人さん)にお願いすれば、一つ一つ分解して掃除もしてくれます。
自分ひとりではわからないことも多いと思うので、やはり数年に1度は楽器店に持っていって自分の楽器の状態を確かめてもらうことも必要ではないでしょうか。